この世界は残酷なほど美しい


「母さんに線香あげようか」



僕たちは肩を並べて母さんに手を合わせる。

今母さんは何を思っているかな。
喜んでるかな?
母さんのことだろうから、泣いてるかもしれない。
そうしたら僕は笑ってみせるから。



「父さん、これからは隠し事なしだから。何でも話してよ…あと僕も色んな世界見てみたい」



「流星……」




母さん、聞こえてる?
僕は新しい一歩を踏み出すから。



「だって家族なんだから」




すると温かい風が僕たちを優しく包み込んだ。
それがどこか母さんの匂いに似ていた。


母さん、見ていてくれた?




僕は久しぶりに父さんと肩を並べて歩く。




「流星、また身長伸びたか?」



「まぁね。そのうち抜かすんじゃないかな。それちゃんと読みなよ」




僕は母さんの日記を指差して言った。
母さんの大事なラブレターなのだから。




「うん……」




「母さんからのラブレターだよ。」



そう言って笑ってみせると父さんもあの頃と変わらない笑顔を見せてくれた。




僕たちはずっと…、家族だから。







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