この世界は残酷なほど美しい
僕が見てきた世界はとっても小さくて。
でも…莉子を好きになって、蓮や奈緒子や春さんたちに支えられて、僕の世界の色はこんなにも輝いている。
「莉子、今話せる?」
久しぶりの学校。
このまま行かずに夏休みに入ってしまおうか悩んだけれど、どうしても気持ちをリセットしたくて。
カバンの中に彼から預かっておいた写真集を入れて学校に向かった。
教室にはすでに莉子がいた。
莉子は僕の姿を捕らえると驚いた表情を見せた。
「流星…髪の毛切ったの?」
「うん、ちょっとさっぱりしたくて。似合う?」
「うん!とっても!!」
僕は伸ばしていた髪の毛を思いきり切った。
軽くなった髪の毛は僕の心までも軽くする。
僕たちは屋上に向かった。
フェンスに体を預けて、ゴクンと生唾を飲む。
これで最後だから。
「莉子、僕は莉子が好きだ。こんな感情になったのは初めてで。どうしても伝えたかったんだ」
莉子は長い髪の毛を耳に掛けて、僕を見上げた。
答えは分かっているんだ。
でも伝えることが大事なんだ。