この世界は残酷なほど美しい


丁度一週間前、蓮から「来週行く」と連絡があった。
大学の春休みを利用して遊びに来ると言っていたのに。


もうそろそろ到着する時刻なのだけれど…



僕はロビーで蓮の到着を待っていると後ろから声が聞こえてきた。


聞き覚えのある、あの声…




「もしもし、お兄さん?誰かを待っているのですか?」





「……え?」



そこには僕を優しく見つめる…



「な…奈緒子!?」




奈緒子がいた。
思考停止状態となった僕は立ち上がり息をするのを忘れるくらい奈緒子を見つめた。
久しぶりに逢った奈緒子は別れを言ったあの時と変わってはいなかった。




「え!何で奈緒子が?」




「斉藤くんに頼んだの。どうしても逢いたくて。ごめんね、待てなかったみたい」




奈緒子は白い歯を見せて僕を見て笑う。
そんな奈緒子を見て僕の胸はトクンと高鳴った。




「奈緒子には一生敵わないよ…」




僕は奈緒子の手を引いて強く強く抱きしめた。



「流星くん!?」




「ごめん、奈緒子。ワガママ言っていい?」




キミがいるなら僕はもうなにも要らないよ。



僕はキミのために生きていくと誓うから…
キミも僕のために生きていくと誓ってくれませんか。





「キスしてもいいかな?」






僕の世界は、
残酷なほど…



美しい。







―…END*






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