この世界は残酷なほど美しい
僕を探していたってどういうこと?
約束って誰との?
全くと言っていいくらい分からない。
「意味分からない」もう一度呟いて教室から出て行く。
そして夕暮れの色に染まったグラウンドを歩いていく。
学校から一つ先の駅に家がある。
本当は帰りたくない。
だって家には僕を待つ人がいないから。
あっ間違えた。熱帯魚がいるのを。
だけどそいつらは僕に目を合わせようとすらしない。
結局一人ぼっちということ。
駅に向かうにつれて学生が増えていく。
この駅の付近には他の学校があるからだ。
違う制服を着た生徒たちが溢れている。
僕はお気に入りの曲を何回もリピートして改札口に向かう。
階段を昇っているとき、視界に何かが映った。
それは文庫本だった。
表紙に描かれていたのは星空だった。
そして“天体観測”という文字。
それを拾い上げ、ゆっくりと階段の先を見ると一人の少女が慌てて落とした物を拾っていた。