この世界は残酷なほど美しい
「おはよう、蓮」
「おっす、今日も天気がいいねー」
「あ、そうだね。」
蓮に言われて僕は空を見上げた。
今日も空は蒼い。
ただそれだけだけど、何だか心が踊った。
蓮と肩を並べて駅に向かう。
蓮の家はここから数メートル先にある。
超がつくほどの豪邸だ。
さすが人気の弁護士。しかもお祖父さんは県知事をしているし。
でも蓮はそれを何とも思っていない。
そんなさっぱりとしたところが好きだ。
「今日転校生来るんだよな?どんな奴だろう。楽しみだな」
「楽しみなんかじゃないよ。僕は迷惑だ。」
「まぁそんな気を落とすなよ。もしかしたらその転校生に惚れちゃうかもよ?」
「蓮、その笑顔気持ち悪いよ」
僕は恋なんかしない。
自分に特別な感情なんて無いと思ってるから。
でもこれは単なる思い過ごしで。
恋がこんなにも苦しいなんて知らなかった。