この世界は残酷なほど美しい
「奈緒子も一緒に学校に行こうか。」
そう誘うと奈緒子は嬉しそうに頷いた。
「委員長は流星に惚れてるってこと?」
もうその話はやめて頂きたいよ、蓮くん。
せっかく違う話題に切り替えようと思ったのに。
「惚れてるかは分からないよ。だって告白しても流星くんは断るでしょう?私にはやるべきことがあるから。」
「…やるべきこと?」
僕と蓮は首を傾げて奈緒子に聞いた。
すると奈緒子は僕を見つめてこう言う。
「流星くんと友達になりたいの。」
うるさかった街のノイズが一瞬にして消えていった。
それをした犯人は奈緒子なのか、それとも天から見下ろす神様だったのか。
人間がどこまで深いものか、初めて触れた瞬間だった。
「友達なら喜んでなるよ。じゃあ今から奈緒子は僕と友達だから」
にっこりと笑うと奈緒子も笑った。
蓮は「ふーん」と何だか腑に落ちないようだ。
そして僕たち三人は学校の門をくぐった。