この世界は残酷なほど美しい
「蓮には僕から聞いておくよ。だから花音は蓮のこと好きなままでいてよ」
「うん、分かった。ありがとう…」
「じゃあね…」
僕は無事に花音を教室まで送り届け、自分の教室に向かった。
ヤバい、次の授業は沢村先生だった。
遅刻するとペナルティがあるんだよな。
草むしりとか掃除とか、すごく面倒なこと。
だから沢村先生の授業は誰一人サボらない。
廊下を歩いていると前から蓮らしき人が欠伸をしながら歩いてくる。
あの金髪は間違いなく蓮だ。
もうすぐ授業が始まるというのに何をしているのだろう。
鞄なんか持っちゃって。
もしかして帰るのか?
ちょっと待てよ。
僕に花音のこと何も言わずに帰るつもりか?
「おい、蓮!」
僕がそう呼ぶと蓮はこちらに視線を向けた。
そしていつもと変わらない笑顔で僕を見る。
フラッシュバックする花音の涙。
僕は蓮が許せなかった。