この世界は残酷なほど美しい


さっきまで僕の隣で花音は泣いていたのに。
我慢して「大丈夫」と行っていたのに。
なのに原因である蓮は何も感じていないよう。

何だよ、それ。
お前は自分が悪いなんて思っていないか?




「流星、俺ちょっと用事できたから早退するわ。沢村には言ってあるから」



通りすぎようとする蓮の腕を掴み、僕は強く言った。




「蓮、他に言うこと無いのか?」



「あぁ、課題は出してあるよ」



そんなことじゃない。
僕には蓮の課題なんか関係ないし、知って得する情報でもなんでもない。
何故言ってくれない?
僕と蓮の関係はその程度の価値しかないのか?




「…花音、さっき泣いてたぞ。蓮に別れようって言われたって。」



「……あぁ。」




蓮は僕から視線をずらしてこれ以上何も言わなかった。
知られてまずかったことなのか、知られたくなかったのか。



そんな態度に腹が立った。



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