この世界は残酷なほど美しい


初めて見た。
蓮のこんなにも怒った表情。
だけど瞳の奥はどこか苦しそうだった。



「じゃあ誰だよ?好きな人ってさ」



「流星には関係ないだろ。これは俺の問題なんだ。好きな気持ちが分からないお前には一生分からないことだ。」



蓮は最後にこうぶつけて僕の腕を強く振りほどいた。
脱力感に襲われる体。


蓮の言葉が深く心に突き刺さる。
そして息が出来なっていく。


僕は関係ない?
関係ないと言うのなら僕を捲き込まないでよ。
蓮の問題ならじゃあなぜ花音は僕に相談してきたんだよ。
少なくとも花音は誰かに助けてもらいたくて僕を呼んだのだろう?

それなら蓮と花音の間で解決してよ。


汚れた廊下を見下ろし、去っていく蓮に向かってこう言った。


「蓮がこんなにも薄情な人間だとは知らなかったよ。ガッカリだ。」




そう言うと蓮からは何も返事はなかった。
人の気配が無くなった廊下はまるで地球が滅亡したように不気味だった。





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