この世界は残酷なほど美しい
あぁ…頭が痛い。
奥の方がズキンズキンと唸っている。
僕は頭を押さえながら教室に向かった。
教室に行くと当然のように沢村先生は僕にペナルティを与えた。
それは今説明していた方程式の回答だった。
僕にはそれは簡単すぎる問題だった。
チョークで公式と答えをすらすら書き席に座った。
僕の解答を見た沢村先生は「さすが」と一言。
別に答えが合ってたからといってちっとも嬉しくない。
僕が知りたいのは答えのない問題の解答だった。
授業中、ずっと上の空だった。蒼い空を見ながらただぼーっとしていた。
蓮は何を考えているのだろう。蓮は誰を好きになったのだろう。
好きってなに?
ドキドキってなに?
僕は何かと何かと天秤に掛けることをしたことがなかった。
だけど知ることとなる。
好きという天使。
好きという悪魔。
真っ白だった僕の世界が苦しみで真っ黒となっていく。