この世界は残酷なほど美しい
こんなにも空は蒼いのに、こんなにも無力な僕のままでいいのだろうか?
母さん、出来たら教えてよ。
僕は人間になんか興味が無かった。
でも知りたくてたまらないよ。何を考えているのか、何を思っているのか。
だから、ねぇ…
奈緒子は僕に一体何を隠しているの?
居てもたってもいられなくなった僕はくるりと振り返り屋上のドアを思い切り開けた。
大きく一歩を踏み出そうとしたがそれは出来なかった。
何故ならばそこには仁王立ちしている莉子がいたから。
「り…こ」
一体キミはいつからそこに?
もしかしてさっきの奈緒子の話…聞いてた?
僕の問いかけにも莉子は反応をしなかった。
まさか人形とか?
そんなわけがない。
さっきから眉毛がピクピク動いているから。
「莉子、どうし…」
僕が言いかけた時だった。
「流星、あなたは何も分かっていませんね。大丈夫じゃない人に大丈夫?って聞いてはダメなんだよ。」
莉子は僕より、ううん。
僕なんかより、ずっとずっと大人で。
そして誰よりも人間らしかった。