甘い涙
4
ホームルームが終わると
「コウ、マック行こうぜ。」
と数人の男子が杉崎くんのもとへ集まって来た。
「悪い、俺パス。」
今日から鈴木さんと帰るから。」
帰り支度をしていた私の横に立ち並び、右腕を私の首へと巻き付けながら言った。
……はぁ…?
あまりの突然な杉崎くんの行動に、ぽかんとする私。
そして教室中もシーンと静まり返った。
━1秒
━2秒
━3秒
その静寂をものともせず破ったのは、集まって来ていた男子の中の一人五十嵐くんだった。
「お前らつきあってたのか?
一緒に食堂行ったり変だと思ってたんだよ。
コウ、いつからだよ。」
と豪快に笑いながら言ってきた。
教室にざわめきが戻ってくる。
私は居たたまれなくなって、顔が赤くなっていくのが分かった。
「ないしょ。じゃぁな。」
と私の手を掴んで教室を後にする。
「おう。頑張れよ。」
と五十嵐くんの声が背中を追いかけて来た。
━何を頑張るんだ?
私は心の中でつっこみを入れた。