甘い涙
 「あ…ありがとう…。」
 「他は、大丈夫?」
 「大丈夫じゃありません…。」
 少しうつむいて答える。
 ━美人は三日で飽きると言ったのは、どこのどいつだ?
 飽きるどころか、全く慣れなくて目が合うとドキドキが止まらなくなるんですけどー。
 「じゃあコレね。」
 杉崎くんは、てきぱきと選んでくれる。
 私がドギマギしている事を知ってか、知らずか、すっごく近くに寄って来る。
 他の人から、抱き合ってると見えるのではないかと、違った意味でドキドキしてくる。
 「私、会計してくる。」
 杉崎くんから逃げ出すようにレジへ向かった。

 「めい、一人で暮らしてるんだって?」
 ━どうして知ってるんだろう?
 「石井さんに聞いたんだ、めいが、この前倒れた時。」
 「めいが勉強している間、俺何か作るよ。」
 …?…
 「…何を作るの?」
 「夕食だよ、こう見えて、俺、結構料理得意なんだぜ。」
 ━いやすっごい得意そうに見えるけど…。
 「何を作ろうかな。」
 と楽しそうな杉崎くんを見ていたら
 ━まぁいいか。
 と思ってしまうのだった。

 
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