甘い涙

迎えに来てくれた杉崎くんはごく普通の格好なのに、カッコ良すぎてクラクラした。
 きっとどんな格好をしても、着こなしてしまうのだろう。
 「じゃあ、行こうか?」
 行き先を知らない私は、どこに行くのか尋ねる。
 「俺の家の場所しってる?」
 ━そういえば…知らない。
 「じゃあ、散歩がてら、俺の家まで行こうか。
 めいには、俺の家の場所知ってて欲しい。」
 少し照れた様に言う。
 今住んでる家は、杉崎くんのおばあちゃんの家だ。
 そのおばあちゃんも2年前に亡くなり、杉崎くん一人で暮らしている。
 ご両親はアメリカ在住。
 そういえば、杉崎くんは帰国子女だった。
 私、何にも杉崎くんの事知らない。
 「これから、いろいろ知っていけばいいことだよ。」
 杉崎くんは、のんびりと答える。
 「あ、あれが俺の家。」
 杉崎くんが指差す方を見ると、和風建築のどっしりとした、古風な家が見える。
 ━大きな家。
 私の家から、歩いて2~30分。
 ━結構近いんだ。
 バスだともう少し早いかな?

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