甘い涙
5
迎えに来てくれた杉崎くんはごく普通の格好なのに、カッコ良すぎてクラクラした。
きっとどんな格好をしても、着こなしてしまうのだろう。
「じゃあ、行こうか?」
行き先を知らない私は、どこに行くのか尋ねる。
「俺の家の場所しってる?」
━そういえば…知らない。
「じゃあ、散歩がてら、俺の家まで行こうか。
めいには、俺の家の場所知ってて欲しい。」
少し照れた様に言う。
今住んでる家は、杉崎くんのおばあちゃんの家だ。
そのおばあちゃんも2年前に亡くなり、杉崎くん一人で暮らしている。
ご両親はアメリカ在住。
そういえば、杉崎くんは帰国子女だった。
私、何にも杉崎くんの事知らない。
「これから、いろいろ知っていけばいいことだよ。」
杉崎くんは、のんびりと答える。
「あ、あれが俺の家。」
杉崎くんが指差す方を見ると、和風建築のどっしりとした、古風な家が見える。
━大きな家。
私の家から、歩いて2~30分。
━結構近いんだ。
バスだともう少し早いかな?