甘い涙
ようやく中学校も卒業し、私の心も、もものお蔭で、少しずつ感情を取り戻しつつあった3月の終わり。
両親の乗った車とトラックが事故を起こし、二人とも亡くなってしまった。
他人事のようで、まるで実感が湧かない。
ただ、何故あんなに仲が悪かった両親が一緒に出掛けたのか、未だに分からないままだった。
親戚も誰も知り合いの居ない私は、15歳にして本当に独りぼっちとなってしまった。
毎晩喧嘩する両親なんて、居ない方がましだとずっと思っては来たものの、いざ本当に突然居なくなってしまうと、夜が静かすぎて不気味なほどだった。
高校へ行くにも、働くにも、未成年者には保護者か、後見人が必要だった。
未成年という事が重く私にのしかかってきた。
ももを抱き泣く日々が続いた。
泣きじゃくる私に、ももはニャーンと鳴くと、膝の上に乗りゴロゴロのどを鳴らした。
まるで私に、大丈夫だよ、と言うように。