甘い涙
 笠松さんは父の知り合いだったらしい。
 相続の事とか、私には全く分からない事を処理する為に来て下さったらしい。
 私にはチンプンカンプンな難しいことを一通り説明して下さった。
 そして、私をじっと見つめ
 「高校はちゃんと行ったほうがいいよ。
 お金の事なら、育英制度とか方法はいくらでもあるんだから。
 おじさんも、その為にここに来たんだからね。」
 とても優しい目をして言って下さった。
 ━この人に相談しなきゃ。
 直感で私は思った。
 私は未成年で後見人の人が居ないと何も出来ない事など、心を奮い立たせ一生懸命訴えた。
 「どなたか、後見人となって下さる方はいませんか。」
 笠松さんは少し難しい顔をし溜息をつきながら言った。
 「この家で一人で暮らしていくのかい?
 一人で暮らすのは本当に大変なことなんだよ。」
 「大丈夫です。
 それに、ももも居てくれます。」
 隣で香箱座りをしていたももも、スックと立ち上がり、ニャーンと鳴いた。
 
 
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