甘い涙
 笠松さんはそんなももを目を細めて見つめ
 「この子が……だいか。」
 とももの頭を撫でた。
 聞き取れなかった私は、笠松さんに尋ねようとしたが、
 「じゃあ、僕が鈴木さんの後見人になろう。」
 と言う言葉に気を取られ忘れてしまった。
 「本当ですか?
 私、ここで、ももと暮らしていけるんですか?」
 「ああ、そうだよ。」
 「…ありがとうございます。」
 気が緩み、泣き出してしまった私に
 「大変だったね。」
 と頭に大きな手を乗せ、優しく言ってくれた。
 今まで誰にもそんな優しさを貰った事がなかった私は、尚更号泣してしまった。
 
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