パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~
奈桜は空港とは逆の道を走った。



走れば走る程、足が重くなって行く。




もう、梓とは会えない。



「ごめん。ほんとに…ごめん」



走りながら、もう手が届かなくなって行く梓へ呟く。



きっと、会える最後のチャンスだった。
梓が花菜を碧に会わせる為にスタジオに寄ったのも、そこに自分がすでに来ていた事も、運命。
今なら、間に合ったかもしれない。



でも、今、こうして違う道へと走っている事が結果。



奈桜が選んだ道。





「これがベストなんだ」



ようやく1台のタクシーが止まる。



乗り込む時に、ふと頭上の空を見上げた。



どこまでも青く、飛行機雲は2人を引き裂いて行くように、はっきりと線を描いていた。

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