パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~
第4章 誇り・・・
ーそっちじゃなくてー
「…はい」
タクシーに乗るなり奈桜の携帯が音を立てた。
ポケットを探り、慌てて取り出す。
一瞬…、ほんのちょっとだけ、もしかしたら梓かも?と、ドキッとした。
が、それはやはり単なる期待で終わり、かけて来たのは奈桜の母親の優子だった。
「奈桜?今、どこ?学校から連絡あったでしょ?ごめんね。お母さん、ちょっと友達と韓流スターが来るからって空港に会いに行ってたのよ」
「韓流スター?初耳だよ」
「言ってないもん。ちょっとハマったみたい。ってそれはまぁ、また今度ゆっくり話すわ。今、どこ?」
さすが、母親パワー。
話題を振りまいておいて、すぐに撤収する。
「今はタクシーだよ。もうすぐ着くと思うけど。お母さんこそ、どこなの?空港?」
「家よ。奈桜のマンション。学校から留守電が入ってたから急いで帰って来たのよ」
優子はちょっと残念そうな声を出す。
「桜は?桜は帰ってるの?」
奈桜の声が大きくなる。