パパはアイドル♪vol.２ ～奈桜ｸﾝの多忙なｵｼｺﾞﾄ～

「大丈夫よ。今は眠ってる。夕方、近くの病院に連れて行くわ」



「そっか。ありがとう。じゃあ顔見てから仕事に戻るようにする。あの…さ、今夜もまた遅くなりそうなんだけど…」




今夜はおそらく優子は泊まる事になるだろう。
本当なら、出来るだけ親には迷惑をかけたくない。
でも、出来る無理と出来ない無理がある。
シングルで子供を育てようと思ったら、周りの協力なくしては成り立たない。



「あぁ、それはいいんだけど。困った時はお互いさまなんだから。あ…、そうじゃなくてね、あのね、奈桜、ちょっと困った事が起きちゃって…。あのね、来ない方がいいかもしれない」



口ごもりながら、次第に小声になって行く。



「えっ？何？…もしもし？…もしもし？…クソッ！充電切れ？」



真っ暗になった画面を見ながら、つくはずもないのに電源ボタンを何度も押した。