パパはアイドル♪vol.２ ～奈桜ｸﾝの多忙なｵｼｺﾞﾄ～

「せ…先生？えっ？あ……シャワー？」




まさか桜の担任の先生が来ているとは思わなかった奈桜は驚いた声を出した。
ただ、先生が家にいた事だけを驚いたのではない。
美優希の格好だ。
今どきいないだろ？っていう真っ白のフリフリのエプロンを身に付けて、まるで新妻のような雰囲気を醸し出していたからだ。



完全に面食らった。



「いやだ。シャワーって、変な意味はないですよ」



勝手に言って、顔を赤らめる。
奈桜は『何言ってるの？』という困惑顔で優子を見る。



「だから、ちょっと待ってって言ったのに。ずっとあの調子なんだから。奈桜の事も保護者なのに『奈桜さん』って。キッチンも我が物顔で仕切るんだから。『お母さまは楽になさってて下さい』って。おかしくない？私は桜の『おばあちゃん』よね？」




立場を勘違い…いや、完全に奈桜の彼女気取りの美優希の言動に、さすがの優子もたじたじだった。



「あ…あの、わざわざこんなとこまでありがとうございました。すぐに迎えに行けなくて誠に申し訳ありません。あとは…私も祖母もおりますので。何とかなります。先生もお忙しいでしょ？もうお帰りになられても大丈夫ですので。本当にありがとうございました」



優子に背中を押されるように一歩前に出されて、奈桜は丁寧に頭を下げた。