パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~

「奈桜さん、明日ですが、9時に迎えに行きますので。よろしくお願いします」



マネージャーの石田がバックミラーに映る奈桜をチラッと見ながら言う。
奈桜は日頃の疲れがかなり溜まっているようで、気付けばいつも眠っている。



「お疲れ・・・ですね」



小声で言うと、しばらくチラチラとその寝顔を見る。
首を傾けてそっと閉じた瞼、キュッと閉まった唇は、まるで少年が心地よい夢を見ながら寝ているようだ。
長い睫毛が少しの色気を醸し出し、思わず抱きつきたい衝動に駆られる。



「イケナイ!!」



慌てて首を振り、真っ直ぐ前を見る。
絶対に越えてはならない気持ちの一線。
でも・・・、ちょっぴり越えているかもしれない。
それは自分の中で気付いては・・・、閉じ込める。
その作業の繰り返し。
『今』のこの関係が最高に違いないのだ。




「・・・う・・・ん。寝ちゃってた。石田さん、明日は?」



もうそろそろ家に着くという頃、奈桜が目を覚ました。



「9時です。ちょうど着きました」



「ありがとう。今日は石田さんもゆっくりして。疲れてるでしょ?じゃ、お疲れ」



爽やかな風がそこだけ流れているに違いない。
ほんとにそう思える。



「奈桜さん、本気になりそうですよ・・・」







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