パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~




「奈桜、何、見てんの?」



カレンダーの撮影の小道具として飾ってある花束をじっと見つめている奈桜に、泉が声をかけた。



「え?あぁ、花」



振り返らず、花を見つめたまま答える。



「アハハ。それは分かってるって。まさか、『雌しべ』って答えて欲しい訳じゃないよ」



泉は奈桜の横に並び、同じように花を見る。



真っ赤なバラの、ちょっとお高く留まった品のある甘い香りが、泉の嗅覚を突いた。 



「何か、高貴な香りだな」



「泉、すげえな。高貴な香りってなんだよ?」



ククッと奈桜が笑った。



「何だよ。奈桜がじっと見てるから、気を遣って言ったのに。・・・高貴な香りってのは、この匂いの事だよ!」



笑われてちょっと怒った泉は、奈桜の顔の側にグイグイと自分の首を近づけた。



 



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