パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~
「分かった。別に責めてる訳じゃないから。うん。大丈夫。奏を責めたりしないから」



奈桜の優しい口調に沙希の安堵する息が漏れる。
ようやく奈桜と連絡が取れたホッとする気持ちと、好きな人の声が聞けた喜び。
もう、かける事はないだろうが、奈桜の番号を知っているという満足感・・・




そして同時に襲って来る、今の気持ちを全て失うかもしれないとてつもない不安。



「あの・・・、御迷惑をおかけして、本当に申し訳ありません。ごめんなさい!」



沙希は携帯を握り締めて思いっ切り頭を下げた。



「宮ちゃん、今、見えてないのに頭下げてるでしょ?」



笑いながら、奈桜が言う。



『えっ!?』と驚きながら、沙希の目に涙がぐんぐん浮かんで来る。
『何で分かったの?』『優しい声で笑わないで・・・』
苦しい想いが交差する。



「迷惑かけたのはこっちも一緒だよ。こんなウワサ話ってさ、有名税?みたいなもんでしょ。誰でも通る道だから仕方ないって。オレも気にしてないし、宮ちゃんも気にしないで」



奈桜の言葉に嘘はない。





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