パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~
「優しくしないで下さい・・・。私・・・、私はこのウワサが本当ならって。そうしたら、どれだけ幸せだろうって。そんな事を考えてたんです。私・・・、奈桜さんの事が・・・」



突き上げて来た想いを堪えきれず、沙希の口から言葉がこぼれた。



電話の向こうの奈桜からは何の反応もない。
沙希は続きの言葉をこのまま言ってしまうか、それともここで『やっぱり、何でもないです』と やめるべきか迷う。
わずか数秒でどれほど悩んだだろう。
心臓は丈夫な方だと思っていたが、もしかすると破裂するんじゃないかというくらいに体の中で打ち乱れてる。
軽くパニックになっている頭を落ち着かせるように小さく息を吸うと、決断した続きの言葉を吐き出そうとした。



「私・・・、奈桜さんの事がずっとス・・・えっ!?」



いきなり、沙希の電話は背後から奪われた。



「やめときなって」



哀しい目で沙希を見つめる心がいた。


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