パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~
「ったく、ゴキブリ、早いよ」
奈桜は右手に持っていた丸めた新聞をテーブルに置いて、ドカッと椅子に座った。
「あっ!あぁぁぁぁぁ!!」
テーブルに斜めに適当に置かれた携帯電話を見つけると、慌てて掴み、耳に当てた。
「もしもし?宮ちゃん?」
奈桜はあの時、沙希が勇気を振り絞って告白をしようとした、まさにその時、携帯を軽くテーブルに放り投げていた。
楽屋の隅に、こちらを見つめる1匹のゴキブリを見つけたからだ。
ゴキブリだけはどうしても見て見ぬ振りが出来なかった。
それは、娘の桜が大キライなモノだから。
おかげで沙希の必死の想いは全く、欠片も奈桜の耳には届いていなかった。
「怒ってるだろうなぁ。宮ちゃん。でも・・・まっ、いいか。用があるなら、またかけてくるよな?」
奈桜は沙希の番号を登録しようか一瞬、悩んだが、やめた。
深い意味はナイが、何となく。