パパはアイドル♪vol.２ ～奈桜ｸﾝの多忙なｵｼｺﾞﾄ～

「あっ」


「はい？」


男性の声に、期待を込めた目で女性が見つめる。


「すみません。ちょっと電話に出てもよろしいでしょうか？」


男性はやんわりと女性に尋ねた。
スーツのポケットに入れている携帯電話がブルブルと震えている。


「え？あ…はい。どうぞ…」


「すみません。ちょっと失礼します」


立ち上がる姿に思わず見とれる。
細身だが、華奢という感じには見えない。
微かに香る甘めの香水は、やはり『THE・芸能人』
普通の男性はあまり香水などつけないだろう。
少なくとも…今まで出会った保護者には1人にもいないと女性は思った。


「さすが…Ｚの雨宮奈桜だわ」


穴が開く程、奈桜の後ろ姿を見つめた。