パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~
「梓・・・!」



奈桜が駆け寄り、梓の体を抱きしめる。
柔らかな温もりが全身に流れて行く。
この瞬間は、この瞬間だけは、ただの、『雨宮奈桜』という人間になる。
なんの肩書きもなく、背負っているものもなく、ただのひとりの男。
なれそうでなれない、ただの『雨宮奈桜』



梓は何も言わず、奈桜の温もりを感じている。
ずっと、こうやって抱きしめられたかった。






「ごめん・・・」



「何が?」



「一緒にいてやれなくて」



「・・・いてくれてるよ」




奈桜の背中に回した梓の手に力が入った。



奈桜は次の言葉が出て来なかった。



ただずっと、抱きしめていた。

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