パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~
第8章 そのまま離すな!!
~放っておけない・・・~
「って、いったい、どこに行けばいいんだよ」
いったんは梓のマンションにタクシーを走らせたものの、マスコミの多さに速攻、引き返してしまった。
やはり、そこを通って行く程の覚悟はまだない。
「・・・電話は出ねぇし」
ちょっとイラッとしながら携帯を睨む。
「どちらに行かれますか?」
「・・・あぁ」
とりあえず真っ直ぐ走ってもらっているものの、タクシーは行き先を言わなければならない。
奈桜はふと空を見た。
久しぶりに見る真昼の太陽は、どこまでも眩しかった。
「え?」
信号で止まったタクシーの横に、1台の車が止まった。
黒塗りのタクシーの後部座席にいちゃつく男女。
「宮ちゃん?」
絡みつく男性に苦笑いを浮かべながら、何とかその手を振りほどこうとする宮本紗希がいた。