パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~


「おい・・・、途中で電話切るなよ」



木の影からひょっこり奏が現れた。



「って、声がデカイよ」


泉が窓を開けてシーッと指を口の前で立てる。


「あ、ごめん。そんな事より、梓さん、あそこ。ずっと、あぁやってベンチに座ってる。誰かにバレるんじゃないかってヒヤヒヤもんだよ」



奏が顔を向けた先に梓がいた。
うつむいて何か思い悩んでいるように見える。


「泉、ありがとう」


少し笑みを浮かべて、奈桜が車から降りる。
ドアを閉めた時、深呼吸をしたように見えた。
少しの緊張が感じられる。



「大丈夫。お姫さまは白馬の王子さまを待ってるもんだよ」


にっこり笑って親指を立てた。



入れ替わりに奏が助手席に乗り込んで来る。



「お疲れ。騎士(ナイト)の役も大変だったろ。腹減っただろ?焼き肉、食いに行こう♪」


「さすが、泉。でも、あんまり時間ないからさ、コンビニのチキンがいいや」


「了解♪腹いっぱい食わしてやるよ」


車を出す瞬間、2人はチラッと公園を見て顔を見合わせると、『大丈夫』と頷いた。
< 253 / 361 >

この作品をシェア

pagetop