パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~


「お姫さま、お飲み物はいかがですか?」



何か考えていたのか、何も考えてなかったのか、梓は奈桜が近付いて来た事に全く気が付かなかった。
だから驚いて顔を上げたのも、その声が誰なのか分かったからなのか、ぼんやりしていたところを声をかけられたからなのか、分からなかった。



「奈桜!?」



奈桜はいつものように穏やかな笑顔で、持っていたレモンティーのペットボトルを梓に差し出す。
梓もその笑顔に応えるように、少し笑って見せた。



「ありがとう。お嬢さまじゃなくて、お姫さまなの?何かすごいわね」



無理して笑っているとしても、奈桜の心にほんのちょっとだけ優しい風が吹いた。



「梓はいつだってお姫さまだよ。・・・オ、オーラが違うんだよ」



どうしても最後は照れ臭くてごまかしてしまう。




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