パパはアイドル♪vol.２ ～奈桜ｸﾝの多忙なｵｼｺﾞﾄ～

「あ・・・、いや、こんなとこにいるって事はそういう事だよな。ほら、今は時間があるって。うん。そうだ。梓、編み物する？」



奈桜は何を言っているのか支離滅裂になっている。
何とか話を反らしたい一心からだが、余計におかしくなっている。


「今日は・・・お休みになっちゃった。仕事、全部キャンセルしたの。事務所が・・・。奈桜、ごめんね。私、とんでもない事になってる。あれは、全部ウソなの。ウソなの。私、あんな人と付き合ってない。奈桜以外に付き合ってる人なんていない。お願い。信じて」



こんなに取り乱した梓を、奈桜は見た事がなかった。
溜まっていた感情が噴き出したのだろう。
おそらく、ここにいる間に色んな事を考えて、その想いが膨らんで行った。
誰とも話さずに思い詰めると、考えが偏ってしまう事がある。
悪い方に。
梓も奈桜にどう思われているか、信じてもらえるか、そればかり考えていたのかもしれない。
いつもの梓なら、大人な梓なら、こんなスキャンダルなんか相手にしない。
『フフフ・・・』と笑って、終わりだろう。
いつもと違う様子に、奈桜も少し戸惑う。