パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~
「大丈夫。オレは梓の言葉しか信じない。他のヤツの言う事なんて気にしないし、信じない。この世界、嘘多いからな。何でもアリだしさ。だから周りが騒いでも、大切な人が言った事だけ覚えてる」



奈桜は優しく梓を抱きしめる。
『少し痩せた?』という感触が、梓の背中から奈桜の腕へと伝わって行く。
そして、出来る事なら、梓が泣き止むまでずっとこのまま抱きしめていたい。
奈桜は心の中で祈る。
どうか、誰もここに来ませんように・・・



「・・・ごめんね。私、何も言えなくて。ほんとはテレビでちゃんと言いたいのに。・・・うちの事務所、青山さんの事務所に借りがあるらしいの」



ゆっくりと梓が奈桜から体を離して行く。
下を向いたまま涙を拭い、『何で泣いてるんだろ?』とわざと笑って見せた。



< 257 / 361 >

この作品をシェア

pagetop