パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~
立ち止まり、振り返ったのは梓。
足早に去って行く奈桜の後ろ姿をじっと見送る。
ちょっとだけ涙で滲んでるのは、風で流れた髪が目に当たったから。
「奈桜・・・、大好き。大好きなのに。どうしていいか分からない。ずっと奈桜だけ見ていたい。ずっと好きでいたい。・・・なのに。なのに。私が言う事を聞かないと事務所が潰れる。私が結婚したいのは、世界中であなただけ。奈桜だけ・・・なのに」
さっきは言えなかったが、梓は青山が梓本人を欲しがっている事を知っていた。
そして、仕事の相手役うんぬんではなく、事務所を救う手立ては梓が青山と結婚する事。
「今時、流行らないよね。こんな身売りの話」
梓は涙を拭いて、もう見えなくなった奈桜に笑いかけた。
いつになく弱気なのは、気持ちがぐらついているからだろうか。
自分の事なのに、自分だけではどうする事も出来ない不安。
何かを得る為に何かを捨てなければならないなんて。
両方を掴む事は出来ないの?
ふと両手を自分の前に広げ、じっと見つめた。
ゆっくり閉じてみる。
「私は奈桜を掴んでる」
足早に去って行く奈桜の後ろ姿をじっと見送る。
ちょっとだけ涙で滲んでるのは、風で流れた髪が目に当たったから。
「奈桜・・・、大好き。大好きなのに。どうしていいか分からない。ずっと奈桜だけ見ていたい。ずっと好きでいたい。・・・なのに。なのに。私が言う事を聞かないと事務所が潰れる。私が結婚したいのは、世界中であなただけ。奈桜だけ・・・なのに」
さっきは言えなかったが、梓は青山が梓本人を欲しがっている事を知っていた。
そして、仕事の相手役うんぬんではなく、事務所を救う手立ては梓が青山と結婚する事。
「今時、流行らないよね。こんな身売りの話」
梓は涙を拭いて、もう見えなくなった奈桜に笑いかけた。
いつになく弱気なのは、気持ちがぐらついているからだろうか。
自分の事なのに、自分だけではどうする事も出来ない不安。
何かを得る為に何かを捨てなければならないなんて。
両方を掴む事は出来ないの?
ふと両手を自分の前に広げ、じっと見つめた。
ゆっくり閉じてみる。
「私は奈桜を掴んでる」