パパはアイドル♪vol.２ ～奈桜ｸﾝの多忙なｵｼｺﾞﾄ～

「落ち着けって。彼女は何て言ってる？」



「花菜（かな）とは…、全く連絡取れない。おそらく携帯は取り上げられてる。マンションにも帰ってない。どこにいるのかすら分からない」



大きな目が潤んで見えるのは気のせいだろうか。



「そっか…。軟禁状態だな。……って、碧、花菜って…まさか、あの、『南 花菜（みなみ かな）』!?」



南 花菜と言えば、『お嫁さんにしたい女優 No.1』で、このドラマ離れのご時世に唯一、視聴率を取れる人気、実力、No.1の若手女優。
可愛らしい顔立ちに、ちょっと天然気味の憎めないキャラクターで同性からの支持も高い。



彼女との熱愛発覚なら…
世間は黙っていないだろう。
しかも清純派で売っているだけに事務所としても彼女のイメージダウンは大きく、絶対に許されないコトだ。
事務所側としては…やはり別れさせるのが妥当な判断である事は間違いない。



「うん。めっちゃカワイイんだ」



下を向いてちょっと微笑みながら言う。
こんな時でもこういう事を言える碧を奈桜は素直に感心した。



「そりゃカワイイよな。南 花菜だもん。朝起きたらあの顔が横にあるんだろ？チョ～羨ましい」



瞳をキラキラさせて奈桜が何か妄想しながら言う。



「バカ！住んでねぇよ。たまに泊まりに行くだけだよ」



「ほら、泊まってる♪」



ほんのちょっとだけ、笑える空気が2人を包んだ。