パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~
「なぁ、聞いてもいい?」
地下の駐車場で、向こうにマネージャーの車が見えた途端、碧が立ち止まった。
「えっ?」
碧と2人、何気なく歩いていた奈桜は、一瞬、意味が分からなかった。
奈桜がぼんやり歩いている間も、碧はずっと考えていた。
「結婚したいって思わなかった?」
じっとマネージャーの車を見つたまま、聞く。
少し冷たい風が吹いたような気がした。
「………思ったよ」
静かな駐車場に奈桜の低い声が悲しく響く。
「人生、上手く行かねぇな。って、そう思ってちゃ運が逃げるから…、こっからは全部上手く行く!!な?」
思い切り奈桜の背中を叩いた。
「痛いって…」
顔をしかめながら背中をさする。
「今、幸せだろ?」
碧の大きな目が吸い込みそうなパワーを放って奈桜を見る。
「幸せだよ。オレのこの顔見れば分かるだろ?こんなお茶目なメンバーに支えられて、チョ~幸せだよ!!」
「だな?桜ちゃんによろしくな」
靴音を響かせ碧はマネージャーの車へと歩いて行く。
「お前には子供がいて羨ましいよ…」
ポツリと碧の本音がこぼれた。