パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~


「なぁ、聞いてもいい?」



地下の駐車場で、向こうにマネージャーの車が見えた途端、碧が立ち止まった。



「えっ?」



碧と2人、何気なく歩いていた奈桜は、一瞬、意味が分からなかった。



奈桜がぼんやり歩いている間も、碧はずっと考えていた。



「結婚したいって思わなかった?」



じっとマネージャーの車を見つたまま、聞く。



少し冷たい風が吹いたような気がした。




「………思ったよ」



静かな駐車場に奈桜の低い声が悲しく響く。



「人生、上手く行かねぇな。って、そう思ってちゃ運が逃げるから…、こっからは全部上手く行く!!な?」



思い切り奈桜の背中を叩いた。


「痛いって…」



顔をしかめながら背中をさする。



「今、幸せだろ?」



碧の大きな目が吸い込みそうなパワーを放って奈桜を見る。



「幸せだよ。オレのこの顔見れば分かるだろ?こんなお茶目なメンバーに支えられて、チョ~幸せだよ!!」



「だな?桜ちゃんによろしくな」



靴音を響かせ碧はマネージャーの車へと歩いて行く。




「お前には子供がいて羨ましいよ…」



ポツリと碧の本音がこぼれた。
< 37 / 361 >

この作品をシェア

pagetop