パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~
「………はい」
真夜中、深い眠りの中にいた奈桜は何度目かのコールでようやく電話に出た。
「『はい』じゃねぇだろ?何回かけたと思ってる!?」
完全に寝ぼけている奈桜は一旦、電話に出たものの、また枕元に置こうとした。
「待て!!切ろうとしてるだろ!!」
遠く霞む記憶の途中で心の怒鳴り声がする。
奈桜はまたゆっくりと携帯電話を耳につけた。
しっかりとついた腕のたくましい筋肉が、可愛らしいキティちゃんのシーツから覗く。
アンバランスな見た目が…なかなかイイ。
「…誰?」
眠そうな声で聞き返す。
「オレだよ!!オレ。心。起きろって。大変なんだよ。碧が…、碧がいなくなった。奈桜、何か知らないか?……おい?奈桜?」
奈桜は返事もせずに、もうさっさと服を着替えていた。
『着替えた』と言っても元々寝る時は何も着ないから、支度は早い。
「おい?…おい?」
ベッドに放り投げられた携帯から心の声が響く。