パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~
奈桜の携帯が突然鳴った。
ちょうど空いている道を走っていた奈桜は、脇に車を停めた。
「心?」
呟きながら電話を掴む。
「はい…」
「…奈桜?」
奈桜の耳が全身の神経になったかのように一瞬、痺れた。
「あず…さ?」
一気に高鳴る鼓動を押さえるように静かに奈桜が聞く。
この甘い、柔らかい声は間違いなくずっと聞きたかった声だ。
「声、覚えててくれたのね。…元気だった?」
「元気だよ。梓は?大丈夫なんだろうな?風邪引いてない?」
矢継ぎ早に聞く。
「フフフ。元気よ。そんなに心配してくれてるなら、電話くれたらいいのに。待ってたのよ」
「バカ。そんなの…、そっちからするもんだろ?」
ちょっと怒った口調で言う。
「そんなの誰が決めたの?」
笑いながら言う梓の声が、奈桜は愛しくてたまらなかった。