パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~
第3章 恋はヒメゴト
―明日は見えますか?―
「奈桜、大丈夫か?」
レコーディングに戻って来てから、ずっと黙ったままの奈桜に泉が声をかけた。
「え?大丈夫だよ」
笑って答えてみせたが無理をしているのは容易に分かる。
顔に出やすいタイプはある意味、人に分かってもらえる分、得かもしれない。
「そうか?ならいいけど」
泉は奈桜の前にコーヒーを置くと、正面の椅子に座った。
奈桜は『ありがとう』と言うと、ゴクッと一口、飲んだ。
「聞いたよ」
ちょっと笑いながら泉が言う。
「え?何を?」
明らかに焦って奈桜が聞く。
「リーダーの話だよ。オレも、やっぱりいた方がいいと思う。今までは何とかなってたけどさ、しっかりと芯になる人が必要だよ。『ココッ!!』って時に締めてくれる人。奈桜が適任だよ」
明るく励ますように言った。
「…ほんとにそういう理由で選ばれたんならな」