パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~
「じゃ」



わざと視線を合わさず、うつむき加減で奈桜が部屋を出ようとする。
今さら気を遣ったところで遅いのだが。



ちょっと微笑みながらドアを押し開けた奈桜の右手が急に止まった。



「あっ!!」



思い出したように奈桜が叫ぶ。



「何?」



「梓……梓は今、どこにいる?」



花菜の方へ振り返った奈桜の顔は、さっきまでの穏やかな顔とは別人のように焦りに満ちている。



「梓の事、知ってるんだろ?」



必死な奈桜の表情に、花菜は思わず碧を見た。
碧は小さく頷く。








「ここまで一緒に来ました」

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