ショッキングピンク×リボルバー
『 …やっぱり何にもない
ピザか、ラーメンでも取る? 』
彼が、部屋の端に置いてある
上が丸い形した
白い冷蔵庫前で、しゃがみながら言った
なんかジュークボックスっぽい
外国で見る感じのやつだ
「 自炊、あんまりしないの? 」
『 …青山さん所に
結構"CheaーRuu"で、入り浸ってるから
妙に落ち着くし、あそこ 』
彼が携帯と
ピザのメニューとか取りながら
そう言ったら
小さな空気清浄機のスイッチを入れて
青山さんがジッポのライターで
煙草に火をつけながら笑う
そしてアズさんは…
――― なんでだろう
去年の夏
私は進路とか、音楽の事とか
ものすごく息詰まってしまって
いきなり家から電車に乗って
ライヴやったり、彼にも会えたし
楽しい想い出ばっかりの新宿まで
飛び出して来た事がある
その時に、
"CheaーRuu"とアズさん達が
海に泊まりがけで行くって
ホント偶然に誘ってもらって…
海で泳いだり、
ウチのバンドのメンバーも来たり
バーベキューやったり
花火大会に、浴衣まで着せてもらったり…
それでアズさんとも
友達になって、喋る様になったんだけど
… なんかもっと、この二人
青山さんがソファーに寝てると
アズさんがドーンと上に乗ったりして
『 …ユカ おまえも好きな物言えよ 』
「 えっ!!!
えっと〜… ジャーマンソーセージ! 」
『 …飲み物は 』
「 う〜ん…… あ!!! 」
『 …何 』
「 あ、あの!!
―― さっき喫茶店で…
ご、ごちそうさまでした! 」
思い切り頭をさげてオジギしたら
メニューの角が、オデコに刺さった…