優しく降る恋
そういえば、昨日そんなことが言われたような...いやいや、言われたっけな。
...ああ、もう...ばかだ。
『...お前、その顔は忘れたな。
提出今日までって言っただろ』
「...あ、あ明日持って」
『今日』
「.......」
『教室居残って、やったら職員室コースな』
わあああああ。
...先生の薄情者め。
そんなんだから、最近頭薄いんだ...っ!
さっさと出ていく先生に無意味な反抗の目を向けるが、効果まるで無し。
(...あ、でも)
彼もまだ、椅子に座って帰りそうもない。
―――やっぱり、いつも帰り際ちらっと見る雨の日の彼は放課後も少し残って教室にいるらしい。
みんなが知らない彼を、ちょっぴり知れた優越感が頬の筋肉を緩めた。