傘に、手錠をかけてみる。

"「人質。」"

未だに―あの声が、あの言葉が、まだ、この耳に、深く深く、残ってる。

静かに疼く耳に気づかないフリをしながら隣のよくわからないこの男の人の気配にただただ神経を集中させる。

普通の、高校生の癖に。
口を着いて出る、その怪しげで妖しげな言葉を手のひらでコロコロ転がす彼の、声に。

コレは、恋じゃない。そんな大人びたものじゃない。
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