傘に、手錠をかけてみる。
そして、この駅についてから今で丁度20分くらい。
確か待ち合わせは5時だったはずなのだが――待ち人はまだ来ない。
時計は5時20分を指している。いい加減ここまで長時間、駅の前で突っ立っていたら周囲の視線が痛くてしょうがない。
しかも5分くらい前からはただ痛いだけだった視線がなんだか妙に同情を含んだ色に変わってき始めた。
そんな感じで私の苛々は降り積もってきて――
ポツ、とまぶたの上に滴が落ちてきた。
「マジ、かよ。」
そこからはもう、ザーザーと雨がとめどなく流れる。
今日はやっぱりどうしても厄日らしい。