秘密
自分の身の上を、気の毒だとは思ったことはない。
可哀想だとも思わない。
私には愛斗がいて、
おばさんがいて、
おじさんがいる。
幸せな家庭だから。
サンドイッチをかじりながら、テレビを見る。
テレビでは、15年前の幼児殺人をおっているみたいな内容だった。
時効ってやつが、近いみたい。
私はぼんやりと眺めて、それから愛斗を見た。
愛斗はテレビをにらみつけていた。
「愛斗……、どうしたの?」
「……なんでもないよ、それより優香、お前は早く食べ終わってくれ、遅刻するぞ」
「…はぁい」
気の抜けた返事をして、愛斗を見ながらもサンドイッチを食べ続けた。