春 ~風が吹いたら~
∥∥ 卒業式の
前々日。∥∥∥∥∥
和羽は目は醒ましたが、今までの全ての記憶を完全に失っていて、何も言葉を発することもなかった。
あんなに笑っていた和羽はいなく、感情も何もない、目だけの開いた動かない人形のような姿になってしまっていた。
『和羽…ごめんな……。』
潤悟はそれだけ言って、帰ることしか出来なかった。
∥∥ 卒業式の
前日。∥∥∥∥∥
潤悟は、「帰りに職員室に来るように。」と中西先生に言われた。