春 ~風が吹いたら~
第4章 俺のもん
偽物
『いらっしゃ…』
『華恋ちゃん、久しぶり。ちょっといい?』
あたしの目の前に現れたのは、仁の彼女の有沙ちゃんだった。
『どうしたの?』
『いいから、ちょっと来て。』
『今、仕事中だから、終わってからか今度にしよう?怒られちゃうし……突然、バイト先に、どうしたの?』
有沙ちゃんがここを訪ねてくるのは、初めてだった。
『なら、私が話つけてくる。帰れるようにね!』