春 ~風が吹いたら~
『あたしの家は…』
あたしの家は、笑わないわけでもないし、楽しくないわけでもない。
ただ、裕福じゃない分、しなくていい喧嘩が絶えない。
ピリピリした空気が、流れてたりもする。
そんな、上がり下がりの激しい家だから、潤悟の家のように明るい雰囲気の家が、凄くうらやましかった。
何度、家を出たいと思ったか数え切れないから。
それを話すと、潤悟はあたしの頭を撫でた。
『憧れなんて言うなよ。