春 ~風が吹いたら~
『でも、顔…血が出て……』
『このくらい、大丈夫だよ…。』
潤悟の寂しそうな顔を見るのは、つらかった。
『明日…バイト行くの?家にも帰…?』
『行くよ。家には……帰らなきゃ。服も、潤悟のお母さんのばかり借りてるわけにはいかないし、クリスマスが理由だったんだしさ!』
あたしが笑って見せると、
『なぁ、華恋…』
あたしを抱きしめて、
『明日もここに、帰ってこいよ…。』
潤悟は話し始めた。