春 ~風が吹いたら~
『心配かけたくなかったし、もうあの頃には戻らないつもりでいたから。』
『何でそんなに、あの頃に戻るのを嫌がる?』
『……言えない。でも、ごめん。喧嘩したこと言わなくて。』
あたしは窓の外を見た。
『いや…いいよ。警察からは、どう帰った?』
『堺に…堺はあたしの…婚約者だから。』
『婚約者…か。』
ラジオから流れる切ない曲が、今のシチュエーションにはピッタリすぎた。
-- 10分後。-----